弥生スキー場跡地を未来への贈り物に!
活用法を考える住民集会のまとめ

青森県武道館 大会議室
2006年10月28日(土)13:30〜15:30
参加者:30名

主催 : 弥生スキー場跡地問題を考える市民ネットワーク
弘前市民オンブズパーソン  岩木山を考える会  コープあおもり弘前地域
市民が主人公のみんなの会  津軽保健生活協同組合  弘前市を考える会


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次  第

報  告 「弥生スキー場跡地の現状をどう見るか」 三浦 章男 (岩木山を考える会)

パネルディスカッション コーディネーター 今泉 昌一 (弘前市を考える会)
パネラー
  市民・くらしの立場から 野田 千恵氏 (コープあおもり)
  現地住民の立場から 石田  豪氏(弘前市会議員)
  農村女性の立場から 竹谷 マツ子氏(弘前市会議員)
  自然保護の立場から 三浦 章男氏(岩木山を考える会)

(フロアも含めた意見交換)
 まとめ  須藤  宏(市民が主人公のみんなの会)


「弥生スキー場跡地の現状をどう見るか」
三浦 章男 (岩木山を考える会)
・画像を用いて、スキー場用地造成のための森林伐採直後の様子と比較して、現在の植生の様子の解説をした。
・隣接地の雑木林と伐採跡地の違い、オートキャンプ場の植林されたブナと伐採跡地に自然に成長してきた樹木との樹勢の違いなどの説明、岩木山の景観上、弥生いこいの広場の赤い屋根が非常に違和感のある光景などが示され、今後の跡地利用法への示唆となった。


パネルディスカッション コーディネーター 今泉 昌一(弘前市を考える会)

市民・くらしの立場から 野田 千恵氏(コープあおもり)
・国の財政がとても厳しくなっている折、税金の無駄遣いと言える体験型拠点施設建設が中止となって良かった。我々が子どもたちに残さなければならないものは、豊かな自然と汚れていない空気・水・土。弥生跡地は今の自然のままが一番良い。

現地住民の立場から 石田 豪氏(弘前市会議員)
・百沢桜林近くに住んでいる農家として発言したい。桜林の朝はすばらしい景色。弘前リゾート開発がとん挫後11年になる。この計画に真っ向から反対しストップに追い込んだネットワークに感謝している。
 弥生の開拓は70年前。当時は土器が出土し、ニホンザリガニも100〜200匹もとれたものだ。今でも2〜3匹はとれるが・・・弥生の方々にどうすればいいかと聞くと、働く場所がほしいという。
市は納得いく説明が必要。弘前市は弥生の土地を1反歩50万円で買ったことになる。近くのリンゴ畑は1反歩20〜30万。とても高い買い物をした。そういう点では有用な活用が第1。ブナはあの辺にはない。山桜であれば育ちも早いのかなと思う。金をかけないような自然に近いものを、ある程度整備しながら進めてはどうか。教育林として森を復元するのもいいかもしれない。

農村女性の立場から 竹谷 マツ子氏(弘前市会議員)
・新法師で生まれ、地元で育った。春の雪解けの形を見て種まきをし、岩木山と共に過ごしてきた。年中山菜を食してきた。戦中戦後、栄養失調にならなかったのは岩木山の山菜の恵。母は山菜を食べて103歳まで生きた。スキー場開発が挫折し、その後自然がたくましく回復している。市民の意見を聞き、コンセンサスを十分に得て進めることが大事。

自然保護の立場から 三浦 章男氏(岩木山を考える会)
・弥生跡地について、次の点を考えてほしい。
  (1)環境アセスをしっかりやるべきではないか。それが出発点となる。
  (2)里山としての自然の回復力を重視してほしい。
  (3)景観を傷つけないものであってほしい。弥生いこいの広場の赤い屋根は違和感が大きい。
・弥生の開発計画が進められていた時点では、拠点施設の必要性が強調された。その必要性は今なくなったのか?我々は既存施設での代替が可能と主張したが、市はきちんとした検証をすべき。
・市は現地の人たちの願いに対し、必要以上にバラ色の夢を与えていたのではないか。鰺ヶ沢スキー場の建設によっても農産物はほとんど買ってもらえていない。地域の人たちがその自然に価値を持って生きていけるような政策が必要なのではないか。

(自由発言)

(1)教育林はひとつの発想だと思う。自然の力は強いが時間がかかる。ネイチャートレイルなど市民が憩う場所を作るのも良い。環境アセスはものすごく金がかかる。実際は業者が机上で作っており、効果は疑問。

(2)岩木山は神様の山。人間は手をかけてはいけないと思う。自然のエネルギーを大事に、人間はこざかしい真似はすべきでない。

(3)岩木山の存在そのものが我々に恵みを与えている。それを自覚することが大切。何もしないのが一番だと考える。スキー場の開発ですでにかなりの損害を被っている。もう損失は被るべきでない。自然の営みの中で回復には250年かかる。その位のタイムスパンで考えるべき。孫・子の世代を考えるのであればそれが一番。地域住民にとってもそれが一番良い。ミズナラの林になれば保水力が回復する。それが最大の活用方法。

(4)若者の立場から言えば、大金をかけて木を切ってしまった以上は、せめてほんの少しでも活用してはどうか。スカイラインの巨木の森で行われるようなクラシックコンサートもいいかもしれない。フリーマーケットを開いて人を集めるというのもどんなものだろうか。

(野田) 市は、是非いろんな立場の意見を聞いてほしい。行政による検証の姿勢が大事ではないか。山はこのまま残していきたいものだ。

(石田) 地元の方々がいかに施設に期待したか。今後はソフト面を中心に活性化させることを話し合っていくことになるのか。

(竹谷) やっぱりこのまま残すのが一番いいのかなと思った。長い目で自然に帰るのが一番いい。

(三浦) 金のかかるアセスメントは要求しない。市民の手によって環境調査をしたい。自然に親しみながらの観察会は出来る。ゴミ拾いなどもボランティアで出来る。行政と共に、「岩木」という名前が残るような取り組みを今後進めていきたい。

(須藤宏氏によるまとめ)
・岩木の人たちの思いが述べられ、また振興を考えたいという声も紹介してもらい、良い集会となった。
・市民レベルで考える場所と機会を是非、弘前市は検討してほしい。
・農村振興という名の下に、自然を破壊する大型開発をばらまいてきたことは反省すべきだ。
・自然の恵みを大事にすること。それが岩木山の価値を全国に広め、この地域が活性化することにつながっていくのではないか。こうした視点で施策を考えていこうではないか。