<第7回・最終回> 岩木山弥生地区自然体験型拠点施設整備事業」をめぐる
残代金支出の違法・不当性およびその他の問題点 

違法・不当性およびその他の問題点に対する結論

(1)この間の経緯からも明らかなように、弘前市長があくまでも本件整備事業を進めるとしてその用地買収の完了を図ろうとすることは確実であり、残代金1億295万7107円が支出されることは相当な確実さをもって予測される。
 よって、監査委員におかれては、厳正な監査をなし、弘前市長に対して、岩木山弥生地区自然体験型拠点施設整備事業の用地買収の残代金1億295万7107円の支出を差し止めるよう勧告されることを請求する。

(2)なお、2004年6月14日付でなされた本件整備事業に係る基本計画作成委託料450万円の支出差し止めを求める監査請求に対しては、監査委員は、整備事業の計画決定と執行が市議会にも諮られ了承されていることや、市の施策の決定等に関する事項は住民監査請求の対象と認められないことなどを理由に「不適法却下」の結論を出している。
しかしながら、財務会計上の行為である以上、「市の施策の決定等に関する事項」であっても住民監査請求の対象にはなりうる。
 また、地方議会の議決を経たからといってそれだけで公金支出が全て適法とされるわけでもない。
また、本件「基本計画書」の内容は、2001年になされた本件整備事業のための用地買収にかかる市議会の議決の際に前提とされていた事業計画の内容と異なるものであるし、同年当時は前提とされていた青森県立の大型児童館は現在白紙状態にある。
 とすれば、厳密に言えば本件「基本計画書」に基づく事業を進めることについての議会の議決はないともいえるのである。
 監査委員が、仮に本件監査請求にかかる公金支出を違法・不当ではないと判断するのならば、実体的な監査を行った上でその理由を示すのが筋である。
 前述の2004年の監査請求に対するものと同様な理由で本件監査請求を「却下」するのであれば、執行機関等から独立した監査機関としての監査委員の存在意義が問われることにもなろう。

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