<第5回> 「岩木山弥生地区自然体験型拠点施設整備事業」をめぐるその他の問題点

@土石流災害の危険

(1)本件「基本計画書」によれば、本件整備事業の予定地内の西側部分には「鶏川」が流れており、また、予定地の東側には「多沢川」が流れている。ところで、これら「鶏川」「多沢川」の流域は、岩木町が、豪雨などの際に土石流が発生する危険のある箇所としている地域である(岩木町土砂災害危険箇所マップ))。
 岩木町百沢地域等で大規模な土石流災害を発生させた1 9 7 5 (昭和50)年8月の豪雨の際には、本件整備事業の予定地を含む上弥生地区周辺の広範な地域が浸水・冠水・道路決壊の被害を受けている。

(2)このように土石流災害の発生の危険がある箇所に、大規模な土木工事を行い施設を建設することには、防災上看過できない問題がある。
真に実効性のある恒久的な防災対策を考えるならば、伐採され更地の原野となっている本件整備事業の予定地に、岩木山の生態系全体と整合させた植林を行い森林を再生する(地山の保全ないし保水力の強化を導くこととなる)べきであって、木件整備事業がめざすような施設を建設することではないはずである。
 本件整備事業は、土石流のおそれのある地域にわざわざ多額の公費を支出して施設を建設しようとするものであって、かような事業の用地買収の幾代金として1億円余もの支出をすることの不当性は明らかである。

次回に続く