岳登山道の整備について 会報25号(02年12月25日発行)より転載
 *昨年整備された「百沢登山道」との比較を中心に報告いたします。*

1 土留め兼用の階段(足場)に使われている杉の丸太は皮を粗くむいただけのものになった。

2 丸太止めの杭が鉄から木製になった。

3 杭と丸太を止める針金がステンレスから亜鉛どぶ付けの太いものになった。

4 土留めの横にはわせた丸太の下に敷かれている流土防止用の化学繊維が腐敗する椰子皮状の植物繊維に変わった。(ビニール袋から麻袋に変わったと言える。百沢登山道のものは今回使用している物と入れ替えるべきである。)

5 おおむね道の拡幅・掘り起こし・伐採等は見られない。

6 建築足場用の丸鋼管等を使った箇所はどこにもない。

7 新道の開削は見られない。

8 整備・設置計画が次のように大幅に見直された。

*誘導標識・ひば標柱、案内板、入山届用Box等が減じられた。
*急傾面の滑り止めは土留め兼用の木製足場を出来るだけ広い間隔で敷設された。
*傾斜面、V字通路の人工的な修復はなされなかった。渡り橋の設置もなかった。


岳登山道整備問題から学ぶこと


冬は雪上車、夏は車が通行してツルツルになった登山道に
土留め足場が設置された

1 この問題の端緒には「登山者の観察と報告」と山岳自然破壊につながる「情報の収集」があった。情報には敏感になり、ふるさとの山岳自然の観察を緻密にすることが大事である上に、行政や企業に「事実を突きつけること」が重要であるということ。

2 今後の登山道整備には「行政、業者、市民、登山者、自然保護関係者、専門家等が意見や知恵を出し合いながら自然に配慮した整備(改修)行動に参画していくこと」が必要であるということ。

3 標識に地図の代わりを、人工的な登山道に危険から自分を守ってもらうことを求めることは業者や行政の思惑と直ぐに合致して、人工的な登山道の整備が行われ、山岳自然の破壊が始まる。自立し自助努力出来る登山者が多ければ登山道整備は不要となり、それが自然を守るということになるのだということ。 

4 この自然に配慮した登山道の整備は、私たちに今後、行政や自然保護団体と協力して、これまで「ブナ林を伐採してスキーコース・雪上車通路としていた場所の植生的な回復作業に取り組むこと(ブナを植えるのではなく、母樹から落ちた実生の幼木を育てる工夫と作業)」を示唆してくれたということ。


進入禁止とフェンス役となる横垂木の設置