第2回調査登山 ■6月8日■岳登山道■参加者数6名


頂上近くで出会ったコミヤマカタバミ

※調査および行動

a 整備された登山道の実地踏査
 土留め兼用の階段状足場は、今のところ壊れてはいません。下山する時に滑ることもまるで「過保護」を思わせるように少なくなりました。スカイラインターミナル直下の根曲がり竹に覆われた部分では「刈り払い」が必要だろうと思います。斜面に沿った形で横に張り出している竹は非常に滑りやすいものです。その下部の階段状足場の横木は外れたり、欠損が多く、補修・整備が必要と思われます。

b 標識等の確認
 昨年整備工事が始まる前の、「岩木山環境保全協議会」では話し合いの中で「御神坂」の落石現場にもっと大きくはっきりと「危険」を認識させる看板の設置が提案され、そのことを了承したものの、未だに設置されていません。これから登山客が増える時期です。早急に設置しなければいけません。岳と第一の分岐点間の登山道に設置された標識の中の2本が、掘って埋めたものでなく木槌か重いもので打ち込んだものらしく、頂部が砕け割れています。景観も重大な要素であることを考えると、見苦しいものです。また割れたところから雨水が入ってより早く腐るでしょう。トタン板の「帽子」を被せたらどうでしょうか。


実の殻を被ったままの今年芽を出したブナの実生

c スキーゲレンデBコースにおけるブナの生育調査(実生・5年木・10年木・15年木)
・標高600m付近からブナの実生が登山道両側、もしくは中央部に見らる。(写真1)
・標高700mスカイライン入り口からのゲレンデとの交叉地点はブナ実生の大群落である。(写真2)
・標高750m辺りのブナが途切れて少し開けたところには(写真3)(写真4)のような)10年目以上のブナが数本生育している。
・登山道分岐点から入ったところの手入れのされていない杉植林地には10〜15年目のブナが目立つ。
・標高900〜965mのゲレンデは竹藪となっており実生はまったく発見出来なかった。

 下山時に、標高950〜850mの道なきゲレンデの藪こぎをしてブナの実生と若木・幼木の発見に努めたがまったく発見出来なかった。

その理由と考えられること:
 ブナの将来を考えるとゲレンデの幅は上部になり次第狭くすることが肝要である。つまり、両脇のブナの枝・葉が交互に差し出して陰を作る部分を残さなければいけない。そうすれば竹の生育が抑えられて、実生から生育が可能となるのではないか。
 標高700〜800mにかけてのゲレンデ両脇には高木のブナがあり、交互に差し出した枝・葉がゲレンデを覆っている。標高が高くなると、ブナの背丈が低くなり同じゲレンデ幅ではそのようなことが不可能となる。よって太陽光をまともに受けて竹藪の繁茂だけが進み、ブナの実は根付くことが出来ない。標高900〜965mのゲ
レンデにまったくブナが見られないのはその所為である。
 わずか15年で撤退したにもかかわらず、スキー場撤退・ゲレンデ放棄のことを予想もせず、ブナ再生(切り株を残してそこから生える「ひこばえ」を守る等を含めた)に結びつくようなゲレンデ造りもしなかったことの責任を誰がとるのか。まったくそのようなことを考えないで、あるいは行政が指導しないでゲレンデ敷設をしてきたことは深く反省すべきである。現に、鰺ヶ沢スキー場の「拡張ゲレンデ」でもこのような配慮は見られない。下部も上部もその幅は同じであることと両脇のブナが枝を差し伸べあうような方策はとっていない。『その時、その場限りの開発は未来を否定する「破壊」でしかない。』
 900m以下のゲレンデのブナは、今後数十年かけて人間が何も手を加えなければ増えていくものと考えられる。その意味からも不法・合法問わず雪上車や自動車等の進入、過度な登山道の整備は厳にするべきではない。

d 登山道沿いのゴミ拾い
 比較的に少なかったのですが、それでも岳とスカイラインターミナル間で大きなビニール袋一つを収集しました。一定の箇所にまとまった形で捨てられていることが多く、登山者よりも「山菜採り」が出したものと思われます。