登山道情報 05/08/08

百沢登山道 

まだ咲いているミチノクコザクラ 8/17付

百沢登山道大沢中部より若干上のところではこのようなミチノクコザクラが見られます

1、あわや事故発生!
 百沢登山道の大沢「通称:坊主ころばし」(標高約1200m、焼け止り小屋から400mほど登ったところ)上部からの踏み跡をたどった女性登山者が猛烈な竹の藪こぎを強いられた結果、疲労困憊して下部に見え隠れする沢に降りようとしたところ、竹に足を捕られて転倒、上向きの逆さま状態で落下しそうになった。
 ところが、数本の竹が輪になって足首に巻き付いたために逆さ宙づりとなって止まった。しかし、落下するのは時間の問題だった。すぐ下には大きな岩がごろごろしている。そのまま落下したら、頭を強打して「首の骨を折る」か「脳挫傷」で死に至ったかも知れない。
 本会と岩木山神社氏子との合同百沢登山道刈り払いの人たちが目撃したのはまさに宙づり状態のその女性登山者だった。本会には地元山岳会に所属している会員も多い。その日も数人の山岳会員が参加していたし、弘前大学のワンダーフォーゲル部員も2名いた。
 すぐに彼ら数名が彼女の下から登り支え、数名は上部に登ってザイルを垂らして彼女の足首を結わえてから巻き付いた竹を外した。その後静かに彼女を沢に降ろした。結果的には下からの支えで十分だったのでザイルの必要はなかった。

2、どうしてこんなことになったのか。
 件の坊主ころばし上部は右岸の縁を渡ったら左折して、そのまま沢沿いに登るのである。雪渓で覆われている時はその雪渓をたどればいいのだが、雪渓が融けだしはじめると逆さすり鉢状の大穴が出来て、登山者の滑落や雪渓自体の崩落があり非常に危険な場所となる。
 その時期の登山者はいきおい、対岸の竹藪ぞい(雪渓のふち)に歩くことになる。多くの登山者がそのルートで登り・降りするものだから「坊主ころばし上部の右岸の縁」を渡ると真っ正面に「彼ら」が付けた「立派な踏み跡」が見えるのである。初心者やはじめて岩木山に来た者には「道」に見えるのだろう。そこでそれをたどるのだが、猛烈な根曲がり竹の藪が行く手を阻むのだ。普通であれば、そこで引き返すのだが、「彼女」は藪を進んでしまったのである。

3、注意しよう。
 a:  25,000分の1等の地図に記載されている登山道は、左折・右折という細かいところまでの記載はない。ほぼ直線で書かれているので、地図に頼ると安心だとは言い切れない。
 b: 雪消え間もなくの登山道では「踏み跡」を信じてはいけない。雪渓上の踏み跡も同様に信じてはいけない。まずはこれで「いいのかな」と疑ってみる。 
 c: 踏み跡が途切れたら躊躇せず引き返す。
 d: 踏み跡(登山道)や標識だけを頼りにする登山は「誰かの後ろにくっついて歩く」ことと同じであり、主体的な登山行動とは言えないともいえる。

4、最後にもう一度おさらいしよう。
 坊主ころばしの上部は、右岸の縁を渡ったら左折して、そのまま沢沿いに登るのである。右岸の縁を渡る時も、足場は岩の壁であり、手がかり・足がかりも狭く小さいので細心の注意が必要である。さらに下部は6mほどの滝になっているので落下したら、大けがまたは死亡事故になりかねない。

 百沢登山道唯一の水場「錫杖清水」は利用出来ます。まだまわりには雪渓があります。その雪渓をたどって草付き地帯に入り込んでいる人がいますがこれはやめて下さい。
 あのあたりは「火山灰地帯」で表土をかろうじて草が支えているのです。その草が踏みつけられて枯死してしまうと簡単に表土は流出してしまうのです。
 水場「錫杖清水」は清潔を保って利用しましょう。また、有り難いという気持ちをこめて飲みましょう。


錫杖清水近くの大沢右岸ではこのようなミチノクコザクラがまだ見られます 8/17付
くれぐれも眺めるだけにして踏み入らないで下さい