2005年岩木山登山道情報 No.1(05/07/13)


 今冬の積雪の多さが登山道に色々と影響を与えています。例年と比較すると積雪の多さは例年の5月中旬とほぼ同じです。

 花々の咲き方(時期)は場所によって1ヶ月から1ヶ月半遅くなっています。例年6月中旬に咲き出す場所のミチノクコザクラが7月13日現在満開になっています。
種蒔苗代上部の雪渓は7月10日まではありましたが13日現在は消滅しています。

百沢登山道
 百沢登山道は標高1000m辺りから大沢を辿りますが、13日現在、大沢末端の滝の部分から種蒔苗代下部150mところまで積雪で覆われて、その長さは約2kmで、大雪渓になっています。錫杖清水はまだ積雪の下です。利用は不可能です。
途中2ヶ所、大きく崩落しています。この規模は例年の5月上〜中旬に匹敵します。
 13日には2組の登山者グループがこの大沢下端部から引き返しています。賢明な判断だと思います。

 積雪の厚さは2〜4mで、下部からすり鉢を逆さまにした形でとけていますから、表面は薄くなっていて踏み抜くと落ちてしまいます。落ちたら逆すり鉢形ですから自力で這い上がることは不可能です。しかも雪解け水が流れていて低温です。仮に全身ずぶ濡れになった場合は気温の低さが加味されて、極端な低体温となり「死」に至ります。
 落ちないためには表面をよく見て「小さな丸い空間」がないところを登り降りすることです。また雪渓の中央部分を出来るだけ登り降りしないで根曲がり竹の生えている「岸」近くを移動することが肝要です。

  
大沢雪渓中央部から下部をみる    大沢雪渓中央部から上部をみる

  
種蒔苗代から150mのところ    錫杖清水付近から上部を見る・濃霧の中

この大きな雪渓に関する全般的な注意事項
1、夏山の経験しかない人や初心者は8月上旬まで百沢登山道を登り降りしないこと。
2、経験者であっても「ピッケル」「軽アイゼン」を使用すること。「自己確保が出来ない人は登らない・降りない」ことが原則です。
場所によっては足場を確保出来ないほど固い氷状になっている。遅くまで残って雪渓ほどこの状態は顕著。
3、濃霧(ガス)が発生している時は登り降りはしないこと。視界が数mしか利かなくなるので踏み抜き・滑落・崩落・落下の危険性を避けることがむずかしい。
4、スカイライン・リフトを利用して山頂に行き、帰路に百沢登山道を辿る人がいますが、登山は登りよりも下りに多くの危険性をはらんでいることを考えて、百沢登山道を降りないこと。

積雪を中心としたその他の登山道情報

赤倉登山道

大鳴沢の厳頭部分から約100m上部までと山頂直下に積雪があります。今月中はあると予想されます。
夏山の経験しかない人や初心者は登り降りしないほうがいいでしょう。経験者であっても「ピッケル」「軽アイゼン」を使用して下さい。「自己確保が出来ない人は登らない・降りない」で下さい。

弥生登山道
耳成岩下部の小さな池塘までは積雪はありません。そこから山頂までの間に少しだけ残っていますが、積雪に関する注意事項はありません。しかし、耳成岩の西端下部では崩落箇所があり、崩落を助長しない登行を心がけて下さい。

長平登山道
ブナ林を抜けて細い稜線上の登山道は深く穿たれています。そこにはまだ積雪があり、それが道を両側から樹木の枝で押しつけていますから歩く時には注意して下さい。突然跳ね上がることがあり、骨折することもあります。また雪がとけた後は下枝が低くなっていて歩きづらいので、あと2週間ほどは利用しないほうがいいでしょう。
 西法寺森下部には積雪があり、登山者はそこを横切ることになりますから危険です。この雪渓は8月上旬まであると予想しています。
山ノ神石下部の「テラス」(通称)にも積雪があります。登山道を覆っていますから道を外す恐れがあります。注意して下さい。

岳登山道
スカイラインターミナル下部にいくらか積雪が残っています。初心者や経験のない人は避けたほうがいいでしょう。