登山者は注意してほしい!

2004年4月中旬〜5月上旬にかけての岩木山登山について

(1)、今冬季の気候的特徴
 今季の「西高」は日本の西側で発生はするが、中国の中央部から韓国の南部を通り、本州の南西部を通過するという特徴を持っている。つまり北に偏らず南を覆うことが多かった。
 「東低」は、主に三陸沖合という日本の東側で発達して東に移動する。ところが、今季は、極端に北に偏って移動し発達していた。記憶では、ごうごうという建物を揺るがすような降雪を伴う強風の吹き荒れた日はわずかに一日であった。
 そして、奇妙な雨降りと雷鳴の続いた「寒中」であった。このような特徴から、『暖冬、少雪』が恒常化して、今年も里では雪が少なかった。

(2)、岩木山の降積雪の特徴
 ところが、実際に岩木山に入ってみると、里や平地とはかなり暖冬の趣が違っている。雪が少ないといっても里のそれと正比例的に呼応している訳ではない。岩木山の北面、小白沢稜線の積雪量は、「定点」(注)では平年並みだ。ところが南面の定点では逆に少ないのである。言えることは「積雪に締まりがないということ」である。暖かさによって早く沈降するのは確実であろう。しかし、3月下旬に50〜80センチの積雪をみている。
1、雪層が締まっていず、粘着性に欠ける。凍結による固い雪層が少ない。
2、雪庇の張り出しが少なく大きくない。
3、例年降雪の「吹き溜まる」場所がそうなっていない。積雪帯の「地形」が変化している。

(3)、全層(底)雪崩のおきる可能性は大きい

(1)(2)の特徴から、さらに加えて3月から4月にかけて特に高温が続いていることから、また下旬の気温予想は20度Cを超えていることなどから…この時期は昨年同様、雪崩の多発生が予想される。
 特に百沢登山道、弥生登山道、松代登山道、長平登山道添いの尾根や稜線ではその可能性が高い。この中でもとりわけ、昨年も大雪崩が発生した百沢登山道は要注意である。避けることを勧めたい。           
 比較的雪崩発生が少ないと予想されるのは、岳登山道と赤倉登山道添いの尾根や稜線である。
  ただし、岳登山道ではスカイラインターミナル直下の通称「鍋沢=湯ノ沢の厳頭部で古い爆裂火口・戦前戦後にかけては桜まつり等で興行される曲芸オートバイの乗り場に似ている形状から「オートバイ乗り場」または「オートバイ」と呼ばれていた。」は、雪庇の崩落や雪崩が発生する場所で、2002年に2人が亡くなっているところである。西に迂回して登ることが肝要である。
  赤倉登山道では大鳴沢厳頭部から山頂への急斜面で雪崩の発生がある。ピッケルやアイゼン装着で北側の固い雪面を辿って登ることを勧めたい。
                                      
   注:定点(毎年同じ場所で樹木を基準に積雪の高さを観測している。)