「ブナの森から自然保護を考える」

 去る2月9日13時、弘前文化センター第一、第二会議室で第11回のシンポジウムを開きました。
 参加者は会員と市民合せて80数名に及び、熱心な勉強会といった雰囲気で進行しました。

基調講演
「ブナの森:その自然史と多様性の秘密」 京都大学名誉教授 河野昭一氏

ディスカッション 
コメンテーター
    横山慶一氏(弁護士)
    三浦章男氏(弘前南高校教諭)
コーディネーター
    牧田 肇氏(弘前大学教授)

 基調講演は、世界のブナ、日本のブナについて、OHP、スライド・プロジェクタを駆使して解説されました。
 特に、日本のブナの森の遺伝的多様性については、豊富な知見を基に2時間近い熱のこもった講演となりました。
 少し難しかったかな、という感じもありましたが、ブナの森の持続には遺伝子の多様性が必要である、多様性が多様性を生み出す循環が断ち切られるとブナの森の持続性も危うくなるのではないか、そうならない環境を確保することが重要である、そんな風に理解させて頂きました。
 ディスカッションでは、横山氏が鰺ヶ沢スキー場の拡張問題を取り上げ、事業者である(株)コクドの計画の進め方に問題があり過ぎたことと、事業者と青森県の行政が一体となっている現状では、自然保護問題の裁判は難しいと話されました。
 三浦氏はスキー場開発の陰にある自然破壊と地域の生活環境の破壊を指摘し、利便性の追求が招く犠牲の大きさを訴えられました。
 最後に河野氏は、整備と供する自然破壊について各地の事例を列挙し、予算消化のための公共事業、行政は非合法を合法化し、結果として自然破壊になっていることがいかに多いか、日本の司法は環境問題について判断停止状態にある、と批判されました。

−16時40分閉会−

(会報23号より転載)