平成14年度事業計画

1、岩木山周辺での自然観察会。
 一般市民参加型で、(春はスプリングエフェメラル時期)年に3回程度実施します。 自然保護は自然の仕組みをよく知ることから始まるということを考えると観察会は自然保護の原点と言えるでしょう。

2、写真展『私の岩木山』。
 プロやセミプロ写真家の手になる写真ではなく、自分の心が動かされ、その心で写した「私の一枚」を展示しようがテーマです。(2月初旬の金、土、日の3日間・NHK弘前放送局ギャラリーで開催します。)

3、シンポジウム。
 多面的に岩木山と関わり、そこに今日的な課題を見いだして、その道の専門家や先達の講演を主体とした話し合い、フォーラムなどを開催します。
 昨年度までに11回開催しています。今年度は訴訟問題や身近な岩木山に関わるテーマなどをこれから検討していきます。



事務局から 〜今、会員に望まれていること〜
はじめに
 本会の名称は「考える会」です。そして、既に相当に行動する会になってはいます。しかし、今以上に実質的な「行動をする会」へと脱皮を図らなければならない時期に来ているのではないでしょうか。
 ロダンの作品に「考える人」という塑像・彫塑がありますが、考えることとは行動があって初めて外的に証明され意味をもつものでしょう。行動がなければそれは彫像に過ぎません。しかもロダンの作品のように美しいものではないと思います。
 山岳会などは存在しているだけでは意義はありません。継続する登山行動があることによって、はじめて存在意義が出来るのです。
 鰺ヶ沢スキー場拡張反対の行動、工事差し止め訴訟などを思い返しますと、今まさに「考えていること」を「何々をするという行動」で具現することが会員一人一人に求められていると思うのですが、いかがでしょうか。
1)市民とともに行動していきましょう。
  観察会は参加を会員に限らないで一般市民にまで広げます。年度中に3回(5月、7月か10月、3月)の実施を目指します。
 日本自然保護協会で実施している「自然観察会」の方式を出来るだけ導入しながら、参加した人たちの観察・学習したことが系統的に自分のものになる、つまり自然の原点がよく解るように配慮し実施します。
 シンポジウムやフォーラムはこれまでどおり、タイムリーな事件や主張にあわせて実施しますが、そのようなものがない場合は大きなテーマよりも、市民を対象にして身近なものに絞って、たとえば「岩木山のイヌワシについて」などをスライドを使うなどして、ミニ講演会や談話会形式のものとして観察会のない月に実施したいと考えています。
2)行政と共通する行動を探し、関わる部分で同一行動をとる工夫をしましょう。
 開発と乱獲に先手を打つには、学術・研究者と行政の立場にいる者の一致した適切・果断な行動しかないことを多くの自然保護の取り組みは教えてくれています。そのようなことに協力していくことが大切だと思います。
 1、県天然記念物の指定を増やすこと(県下最高地に生えるコメツガ等)。
 2、鳥獣保護区の拡大(岩木山全域)。
 3、特別保護区等の拡大(岩木山全域)。
 4、スノーモービル等の進入禁止。
 5、その他すべての事項について岩木山全域を網掛け地域とすること。
 以上のことを行政にねばり強く働きかけていかねばなりません。
3)本会を市民による「岩木山の総合的な研究センター」として位置づけましょう。
 専門分野ごとに調査し、併せて既調査のものは資料の蒐集と整理にあたり、岩木山に関わる市民の「知りたいことや疑問」は本会に問い合わせることで、よく解るという実績を積み重ねていくことが大事だと思います。
 こうしていくことによって、より多くの市民が本会の存在とその意義を理解してその結集がはかられると思います。
4)他組織との連携を問題や事象に照らし合わせながらしていきましょう。
 温暖化防止活動や自然保護活動、それに自然に関わる趣味の団体等多くのNPOが活動しています。
 一昨年と今回の観察会では弘前勤労者山岳会の協力によって観察場所往復の移動が安全裏におこなわれました。 
 観察会やシンポジウム・講演会等は計画の段階から協力依頼(または依頼を受けて協力)をしていくことが望ましいでしょう。
5)「鰺ヶ沢スキー場」に関わる「行政訴訟の原告」に積極的になるか、或いは原告団に対する支援を強く推し進めましょう。
 行政訴訟は、実際に不利益を被る鰺ヶ沢町民(鳴沢川流域の農民)が主体となるわけですが、岩木山への思いの強さを考えると私たちの問題でもあります。
 岩木山を大事するという同じ意識で固い結束をはかりながら、鰺ヶ沢町以外に住む私たちには物心両面にわたる支援が求められていると思います。
6)「鰺ヶ沢スキー場の既存、拡張部分」さらに新たに拡張するという動きを含めて、会をあげて監視活動を継続して行いましょう。企業のスケールメリットはとどまることを知りません。何をするか解りませんしアセスに見られた「約束」が不履行にならないように厳しく点検をしていきましょう。