「岩木山の現場から」


2003年12月19日 更新(本会会報より転載)

1 「不法投棄ゴミには行政も手をやいている…」
 山麓から中腹にかけて多くの林道またはそれに類したものが岩木山には多数ある。
 それは上部へ向かうものだけではない。左右や斜めに折れて沢をまたいで横方向に展開しているものも結構ある。
 しかし、地図には詳しく記載されていない。 地図「枯木平」は現勢として農道、土地造成、新建造物などがあるにもかかわらず、ここ二十数年近く改訂・更新はされていない。地図を現勢に合わせて発行してくれると自然破壊の証拠図となるはずなのだが残念なことだ。そして、この林道が「ゴミの不法投棄」として利用されている。とにかく自動車の入れる「道」があると、その脇や奥まったところにはかならず一般的に「ゴミ」として扱われず、処理するにはそれなりの代価を支払わねばならないテレビ、バッテリー、冷蔵庫、建築廃材、コンクリート廃材、ポリウレタン容器などの「ゴミ」が捨てられている。山は山間や平野部に住む者のゴミ捨て場、海は海岸に住む者や漁師、船員のゴミ捨て場なのだろうか。


左が写真1、 右が写真

 写真1(拡大)は岳登山道に岩木町が設置した「不法投棄禁止」の看板である。
 四輪駆動車やタイヤにチェーンを着けた車が、せっかく整備した「土留め兼足場」が続く登山道を不法ゴミを載せて突っ走るのだ。
 不法投棄は何も人目のつかない場所だけではない。環状線白沢峠の北側(下部が芦萢部落)の崖になっている所などは、この手のゴミで埋めつくされている。
 写真2(拡大)もゴミに違いない。腐らないビニールテープ等で作られたお山参詣に寄進された「御幣」。写真は登山口近くにあるものだ。七曲り近くにも今年のものを含めて、数年前のものが数本放置されている。何しろ腐らない石油化合物なのでいつまでも残ってしまう「ゴミ」でしかない。昔の御幣は「鉋がら(カンナガラ)」を使っていたし、薄いものだからいつまでも残ることはなかった。信仰上すぐ持ち帰ることがためらわれるならば、翌年に古いものを撤去すればいいだろう。寄進者は相馬村在住の方であるらしい。そう書いてあった。ご神体である岩木山をゴミ漬けにすべきではない。

2 二子沼の下沼、周囲のブナ一部伐られる。(2003年11月8日に確認)
 深山の森の中にひっそりとたたずんでいる神秘の沼、これが二子沼のイメージだろう。「沼」全体が一望出来るようにするためが伐採の目的であることは明らかだ。これでは神秘のイメージは台無しだ。
  この自然に対する植生無視の行為を誰がしたのかと考えたところ思いつくことがあった。おそらく、国有林を体験学習の場として自由に使える「遊々の森」の鰺ヶ沢町と津軽森林管理署の関係者ではないのか?と。8月2日付東奥日報では『歩道が整備されており、二子沼もあるため、ブナをはじめとした多様な木々の学習に加え、水辺の動植物についても学ぶことができる。』と伝えている。きっと「関係者」が言ったことだろうが、周囲の木々を伐採することとは明らかに意義と矛盾してはいないか。自然保護の観点から県自然保護課および「関係者」はきちんと調査し、説明をすべきである。

3 スカイラインターミナル周辺に見られる外来種植物
  これはマンテマ(写真3拡大)の一種であり庭に観賞用として植栽されているものだが、最近は山麓部に広がっている。そして、ついにここまで上がってきてしまった。この他に小型のヒマワリみたいな花(写真4拡大)も仰々しく咲いていた。
 山頂では路傍の雑草オオバコや外国種のミミナグサが我が物顔で咲いている。これらによって山頂にしか生えない「ヒメアカバナ」が駆逐されるのではと危惧される。
 このように岩木山では山麓部から山頂部まで広範にわたって本来生息していなかった植物が生えている。ニュージランドあたりでは特定の場所(森林地帯や島)に入る場合は靴をビニールで覆って外来種が持ち込まれることを防いでいる。その土地だけの特産種は、数が少なければ少ないほど短時間で外来のものに駆逐されてしまうのである。


左が写真3のマンテマ、 右が写真4のヒマワリのような花(情報提供求む)