鯵ケ沢スキー場拡張工事、その後1(2001.11.24分)

 11月24日に阿部会長、葛西拓美会員、三浦章男の3人で雪に覆われる前の拡張ゲレンデを「観察」してきましたので、報告いたします。
 昨年拡張ゲレンデの工事は続いていた。大鳴沢から東に一本目の沢に堰堤工事をしていたが、計画ではこの堰堤工事が完了してからゲレンデ部分の樹木伐採を始めることになっていた。ところが、それを無視して工事と併行して伐採は進められた。また、堰堤上部ではニホンザリガニの生息が確認されたにもかかわらず、堰堤工事と周囲の伐採は「ニホンザリガニ」に目を向けることなく続けられた。
 そして、50haを皆伐して昨年11月末日をもって拡張工事を完了したとして、12月から新しい上級者用のゲレンデとして開業したのであった。私には、なぜこのように急がなければならなかったのか不思議だった。行政(県や国)との冬季アジア競技大会に関わる密約でもあったのかという疑いさえ持ったものだ。

 さて、時を急ぎ遮二無二に開業した一年後の「上級者用のゲレンデ」の写真を見てほしい。既存のゲレンデには排水用の側溝が斜面を横切る形で数丈設置されている(確かに拡張ゲレンデにも大鳴沢を跨ぐ手前あたりには3本ほど設置はされている)が、ブナやヒバを伐採した拡張ゲレンデ核心部には一本の側溝も造られてはいない。
 樹木を伐採すると、その後表土等の剥離・流出があるという事実を認めた上で、それらをくい止め、最少に抑えるために草等の植裁と併行して造られるものがこの側溝である。それがないのである。アセスにはそのことが確かにあったはずなのに・・・・事業者は造らなければいけないはずであるのだが・・・。

この写真について
  ゲレンデ下部を横切る掘っただけの排水用溝・2、3本しかない。その上にはまったくない。そこには、急いだことの証拠が累々とある。まるで樹木の墓場だ。有機的な生態系から無機質世界への変容、生から死への変貌である。

前へ ホーム 次へ

040