…本会が数年前から指摘していたとおり
西武鉄道グループコクド(鰺ヶ沢スキー場)が撤退!
事業を売却譲渡…

■西武グループ:県内4施設を売却へ鯵ケ沢プリンスやスキー場
 西武鉄道グループは、鯵ケ沢町の鯵ケ沢プリンスホテルと、ホテルに併設しているスキー場、ゴルフ湯、平川市の津軽高原ゴルフ湯の計4施設を売却する方針を決め、19日に県や同町に伝えた。
プリンスホテルの安東謙一副社長らがこの日、県庁を訪れ、蝦名武副知事らに対し、4施設を年度内に売却したい、という方針を伝えた。県によると、売却方針について安東副社長は「会社再生の一環である」と述べたという。また、売却先を決める条件として、?経営基盤のしっかりとした企業?営業の継続と雇用の確保、などを挙げたという。蝦名副知事も「4施設譲渡後、引き続き健全な営業が継続され、雇用の確保が図られるよう努力して欲しい」と要請した。また、鯵ケ沢町には別のプリンズホテル役員が訪れ、長谷川兼巳町長に方針を伝えた。「8月ごろには引受先が出てくるのではないか。雇用は引き継ぐので心配しないで欲しい」と話したという。鯵ケ沢町では89年にスキー揚がオープンし、続けて94年にホテルとゴルフ揚が開業した。プリンスホテルなど3施設には臨時職員も含めて鰺ヶ沢町民が150人ほど雇用されている。

「朝日新聞6月20日付青森版」

拡張部分に生えていた岩抱き十三本ブナも伐られてしまった
 本会では数年前から活動方針に『鰺ヶ沢スキー場の撤退を含めてその動向には注意しながら、「撤退」となればその責任の所在の究明コクドおよび県、鰺ヶ沢町、林野庁、スキー連盟等に自然の回復に向けた具体的な方策を取るように求めます。』を掲げている。
 これは別に先見の明があったわけではない。「鰺ヶ沢スキー場の拡張」に反対したのは「拡張」が単なる自然破壊であるからだけではない。レジャーやスポーツの多様化、景気の冷え込み、スキーブームとかゴルフブームという時の「ブーム」の危うさなどから、加えて経済の動向と採算性の問題から「撤退」という事実が起こりうることを予見していたからである。
 先年、スキー場関係者、自然保護課とゲレンデの不法整備現況視察をした時に「これだけ自然を壊したのだから、簡単に撤退しないで下さいよ。」と皮肉を込めて言ってやったものだ。撤退は時間の問題だろうと考えていたからである。そして二年も経たないのに現実のものとなってしまったのだ。
 許可をした林野庁や青森県、拡張に賛成し、それを推進してきた地元鰺ヶ沢町に「撤退するかも」という懸念はなかったのだろうか。なかったとすればよほどの「お人好」か、先見性・予見性の面からはその能力がまったく欠けていたというしかない。これはコクドという企業にも言えることであろう。

 本会は「スキー場」の拡張に反対し工事差し止め訴訟まで起こした。企業と行政が組んでしまえば単なる自然保護団体の運動なぞ虫けらをひねりつぶすよりも容易だろう。そして事実は敗訴し岩木山の自然は失われた。

 この新聞報道後、数名の人から「コクドが鰺ヶ沢から撤退するそうで、よかったですね。」という意味の言葉を頂戴した。しかし、私には素直に「よかった」とは思えないのだ。 
 破壊された自然、伐採されたブナやヒバ、追い出されたクマやザリガニ等に対して、誰がどのような保障をしてくれるのか。撤退するのならば「元どおりに復元修復する義務をまっとうして」からにしてほしいものだ。あの場所は林野庁が貸して利用を許可したものである。決してコクドの私有財産ではないのだ。
自然にある岩を砕いて地均をする 岩木山が存在するかぎり、破壊された部分の回復のために、これまで以上に真剣に未来を見据えた運動はいつまでも続くのである。

岩木山を考える会 会報39号より